ドラマ『ナイト・ドクター』最終回が伝えたこと
2021年の夏ドラマとして放送された波留さん主演のドラマ『ナイト・ドクター』。医師の働き方改革のため、日勤+夜勤ではなく夜の時間帯に働く専門の医師を描いたドラマです。人の体調の変化は時間を選んでくれません。しかし、深夜に診察がある病院は限られます。朝まで耐えられるか? コロナ禍の今、以前より身近に感じることではないでしょうか? 出かける人が少ない分、事故などは少ないかもしれませんが、暗いせいで起こる事故もあるでしょう。また、夜に働く人が居てこそ、私たちの日常は支えられています。
最終回でナイトドクターが向かった現場は、電車の車両基地、ゴミ処理場、高層オフィスビルでした。すべてエッセンシャルワーカーが働く現場です。昼間の電車が定刻通り走るため、捨てられたゴミを処理するため、ビル内の安全を守るため。そこで働く人がいてこそ、多くの人の昼間の生活が支えられています。
コロナ禍で、夜の時間帯に外出することが減りました。帰宅時間が早くなった方も多いでしょう。しかし、夜に行われなければならない仕事はコロナ禍に関係なくあります。
ドラマ内で描かれた以外にも多くの夜に働く人たちがいます。
夜勤のある仕事16職種ガイド
紹介されているのは、以下の16職種です。
コールセンター
ホテルスタッフ
駅やビルの清掃員
工場勤務
病院の夜間受付・医療事務
介護士・介護夜勤補助
看護師
ドライバー(トラック、タクシーなど)
土木作業員
警備員・交通誘導員
インフラエンジニア
SNSやキャッシュレス決済アプリの監視
医療検査補助
電話カウンセリング
海外からの問い合わせメールの翻訳
食品などの仕入れ・集荷・仕分け
そして、公務員である警察官や消防士、自衛官や、刑務所、税関、入国管理局の職員も夜に働きます。
夜勤専従看護師の記事ありました。
夜勤専従看護師だけが得られる5つのメリットと、気になるデメリット
働き方は、人それぞれ。何を重視するかです。そして、医師同様、看護師も夜に働く人が居てこそ、私たちの健康は守られます。
夜に働くことは特別なことか?
ドラマ『ナイト・ドクター』の初回放送では、夜限定で働くことはとても特別なことと描かれていました。働く医師たちもそれぞれの事情で、夜専門の勤務を選んでいました。しかし、放送を重ねるうちに、夜の診察が必要であることを感じるようになりました。夜こそ欲しい安心、必要な安心があることも感じました。しかし、「コンビニ受診」という緊急性のない診察で夜間の外来が混むというシーンも描かれていました。
コンビニ受診については、以下に書かれています。
コンビニ受診とは ~医療機関の適正な利用について~
しかし、緊急性のある場合には本当にありがたいのが夜間診療です。実際、私も深夜に自宅で体調を壊したときに、#7119に電話し症状を説明し、診療可能な病院を教えてもらい自分で電話をして病院に行ったことがあります。
救急車を呼ぶほどではないけれど、耐えられない状況を相談できる場所は用意されています。
#7119は、救急安心センター事業です。
救急安心センター事業(#7119)ってナニ? | 救急車の適正利用
これからの季節、ハロウィン・クリスマス・新年とイベントが続きます。コロナ禍で派手には行われていない場所も増えていますが、イベントの装飾は夜に行われます。こちらもドラマで紹介すると有村架純さん主演で放送された『姉ちゃんの恋人』はホームセンターが舞台でした。そこでは、閉店後から開店までに、ハロウィンからクリスマスへ装飾が変わるシーンが描かれていました。ホームセンター内だけなので、社員と業者の方で行っていましたが、外装を変える場合は、専門の方が行います。そういう方が働いてくださるおかげで、昼間に生活をする人たちは、昨日までハロウィンだったのに翌朝にはクリスマスという光景を目にするのです。以前、ラフォーレ原宿の外装が変えられる現場を通りがかったことがあります。明日には違う景色があるのだな、と思ったことを覚えています。
深夜に働く人はどれくらいいるのか?
自分の意思で昼夜逆転の生活を送る人ではなく、業務上深夜に働く人の割合が出ていないか、検索してみました。かなり前の数字しかないのですが、平成14年9月に厚生労働省が発表した数字は、“深夜業務に従事する労働者の割合は20.7%であり、事業所規模が大きいほど深夜業務に従事する割合が高い。”と書かれています。約2割という数字です。もちろんこれは2002年の発表であり、20年が過ぎた今、数字は変わっていると思いますが、前述したように人々が生活をするために、夜に働く人がいるから成り立っている部分も多いです。
深夜業務の従事状況について
働き方改革が進められている今、新しい数字が知りたいです。
ただ、夜に働くことは夜勤従専看護師の記事にも書かれていましたが、デメリットとして「体調を崩しやすい」があげられます。そのため、深夜業務に従事する人は、6か月に1度の健康診断を行うことになっています。
労働安全衛生法に基づく健康診断に関する FAQ
3.すべての人に健康と福祉を
SDGsで歌われている 3.すべての人に健康と福祉を は、開発途上国のことだけではありません。日本国内にもさまざまな格差があり、必要な受診できない状況の人がいます。これはコロナ禍で本当に明らかになりました。命の選択など行われるべきではありません。だからこそ、時間を問わず診察が受けられる場は、私たちが安心に暮らすために必要なことなのです。
こんな言葉があります。「日が昇れば働き、日が沈めば憩う。井戸を掘って飲み、田を耕して食う。帝の力など何の関係があるものか」。しかし、日が沈んでも電気をつければ仕事ができる時代。昼間の生活を支えるために夜に働く人もいます。
望んでその仕事を選んでいる人も、心身ともに健康であることは何より大切。自分の身体のサイクルを知ること。それに合った働き方を選ぶこと。そして、昼も夜も安心して働ける環境があることが望まれます。快適な生活は、多くの人の努力で支えられている今、夜の安心は今後も必要になってくるように感じます。