SDGs コラム

モノを作れば発生する端材。持続可能な端材ビジネスは成立するか?

サスティナブル、持続可能という言葉の意味を改めて確認。

今更ですが、SDGsの「S」はsustainable 持続可能と訳されています。改めて「sustainable」の意味を調べると、維持[持続]できる、持ちこたえられる、耐え得る と訳されています。ただ続けるのではなく、耐え得ることも必要だということです。ちょっと極端な言い方になりますが、これは当たり前になることであり、無意識に続けられることであり、すっかりやり方が変わることでもあるのではないか、と思っています。

今、多くの企業や自治体、メディアがSDGsに注目しています。テレビ番組内にコーナーができたり、タレントをアンバサダーにしたり、自治体もPR大使を任命したり、企業からも多くのプレスリリースが配信されています。

そんなときに思うのが、無理をしていないか? ということです。持続可能だけでなく、耐え得ることができるのか? ということです。これはブームではあってはいけないということです。自分で書きながら、綺麗事をとも思いますが、「SDGsウォッシュ」がすでにあるからです。

「SDGsウォッシュ」は、一般財団法人環境イノベーション情報機構の環境用語集によると、
“SDGsの本質とねらいを理解せず、本気ではないにもかかわらず、表面的に自社の活動によってSDGsに取り組んでいるふりをする”と書かれています。

これからSDGsを本格的に始める企業や自治体も多いと思います。そのときは、本当に耐え得ることができるのか? 今だけのブームにならないか? を見極めてスタートしてほしいと思います。

端材の利用など、捨てていたものを使うことを当たり前に。

SDGsのひとつに、端材の有効利用です。端材はモノを作るときにあらゆる場で出てくるものです。それをこれまではゴミとして捨てていたならば、

  • ゴミを減らす
  • 新たな製品が生まれる
    2つのことが起きます。               

いくつか事例を探しました。

・株式会社ぶどうの木 が発売する「Hazico
今でもスーパーなどでカステラの切り落とし部分をパッケージして販売されているものを見ることがあります。カステラに限らず、食品を形よく仕上げるためには、端を立ち落とすことが行われます。それを有効利用し新しいスイーツにして販売すること。ぶどうの木では、「Hazico」という名前を付けてシリーズ化しています。シリーズ化は、続けることの後押しをします。サイトにも躍進中とあるように、デコレーション、チーズケーキ、ジェラート、ドルチェプレートと4つ紹介されています。ドルチェプレートは、スイーツ好きにはたまらない、あれもこれも食べたいを満たしてくれるプレートにも思えます。

岡崎製材株式会社 の「HAZAI project
木で何かを製造する際にも、端材出ます。特に大きなものを作るほど、端材は増えるイメージがあります。そしてその端材もそこそこのサイズであるだろう、ということ。岡崎製材では、端材で作られた製品を「HAZAI project」として販売しています。これまで、カッティングボード、スツール、ブックエンドや、椅子などが作られたようです。職人が端材で作る商品だけあって、サイトを見ると、とても端材から作ったとは思えない商品です。

キンコーズ・ジャパン株式会社 川崎店 が行う横断幕の端材を使った「マスクケース」
横断幕などを印刷する工程で発生するターポリン素材の端材で、「マスクケース」作るという取り組みを行っています。成形をすれば必ず出てしまう端布や端紙が、別のものとして生きることもあるでしょう。

株式会社アイジーエー(アパレルブランド「アクシーズファム」)が、はぎれを使用し、雑貨などを商品化
アパレルでも端布は生まれます。それを小物にすることが行われています。

これ以外にも、プラスチック部品を繋ぐ部分を集めて再度使うなど、工場ではすでに当たり前に行われていることもあります。

アパレルでは、アメリカで以下の記事が2017年に出ています。
有名ブランドも欲しがるサービス。いまファッションブランドの価値をあげてくれる「布の切れ端、回収します」

「ファブスクラップ」は、ニューヨークのファッション生産者、つまり、ファッションデザイナーやブランドから、服を作る際に出した布の切れ端(スクラップ)や、汚れやシミなどさまざまな理由で不要になった布(ファブリック)を回収し、リサイクルを行う非営利団体だ。

有名ブランドも欲しがるサービス。いまファッションブランドの価値をあげてくれる「布の切れ端、回収します」

種類の違う端材を集めて、新たな商品ができないのだろうか?

端材や端布の利用を調べ、机上の空論で申し訳ないのですが、自社のみで解決するのではなく、異業種の端材を集めることで新たなビジネスが生まれないか? と考えています。まさに「端材ビジネス」。アメリカのファブスクラップは布の回収を行っている非営利団体です。これを営利のビジネスとして、持続可能とすることが必要ではないでしょうか? 私が見つけられていないだけで、すでにあるビジネスかもしれませんし、ビジネスとして成り立たないのかもしれませんが、端材や端布はかなりの量になっているようです。個人が利用するだけでは、消費できません。これがビジネスになれば、と望みます。もちろん、端材を使っても端材が出ます。できるだけ捨てる部分を少なくを考えていくことが必要ではないでしょうか?

以下、このような記事も出ています。
木材はリサイクルの時代へ!
廃材カタログ

“捨てないことが格好いい”時代がすくそこに来ている気がします。


伊藤 緑

伊藤 緑SDGsナビ公式ライター

記事一覧

フリーランスライターと並行して、企業や個人の広報コンサルや広報担当者の育成を行う。2012年より女性コミュニティプロデュースも開始。日本一優しいSDGsの情報発信を目指している。趣味は神社巡り。