SDGs コラム

トイレはすべてが「誰でもトイレ」でいいのか?

「LGBTQ+」を考えるとき起こる呼びかけ

電通ダイバーシティ・ラボが行った「LGBT調査2018」では、LGBTQの方のパーセントは8.9%という結果が出ています。100人に約9人。現在、小中学校のクラスの人数は、小学1年生は35人以下、小学2年生から中学3年生までは40人以下ですから、クラスに約3~3.5人になります。この数字を多いと感じるか、少ないと感じるかは人それぞれですが、個人的には多いと感じ少し驚きました。
電通ダイバーシティ・ラボが「LGBT調査2018」を実施

この数字の捉え方は人それぞれだと思っています。しかし、企業はとても敏感になり、言葉の使い方が変更になっています。JALでは、昨年2020年10月から「Hello Everyone」が使われています。そして、2021年3月には、東京ディズニーランドとディズニーシーで「Ladies and Gentlemen, Boys and Girls」という呼びかけが「Hello Everyone」に変わったというニュースが出ています。Everyoneは、「みんな・全員」を意味しすべての人を包括する言葉です。しかし、それを淋しいという声もありますし、Ladyか、Gentlemanか、Boyか、Girlかは、耳にした人たちが自分で決めればよいという声もあります。
東京ディズニーランドが「Ladies and Gentlemen, Boys and Girls」の園内アナウンスを廃止

しかし、今後、企業ではこれまで以上に、このジェンダー問題には取り組んでいくと思います。


トイレで守られるべきプライバシー

日本の商業施設や駅のトイレは男性と女性が分かれていることが一般化しています。そして、車いすを使う方向けのトイレや高齢者の方向けの完全個室トイレも増えています。このトイレは、ジェンダーレストイレとしての機能もしているようです。これは性的マイノリティの方に配慮したことなのですが、ジェンダーレストイレをどう考えるかによって、入ることを躊躇してしまう方もいるのではないでしょうか? トイレメーカーのTOTOの開発者の方のインタビュー以下の言葉がありました。

ヒアリングの中で結構多かったのが、コンビニエンスストアや飛行機のトイレは男女共用が多いので気兼ねなく入れる、という意見です。街中ではコンビニのトイレは駆け込み寺だと。 簡単に言うと男女トイレとは別に、性別に関わらず利用できる男女共用のトイレをつくるというものです。トイレの男女分けをなくし、男女共用の個室がずらっと並んでいて誰でもどのトイレにも入れるという考え方もありますが、現在はそこまで慣習を変えるのは難しいかもしれない。

TOTO

この部分について、トランスジェンダーの方のことを考えたときに、一度通る考え方だと思います。しかし、“トイレの男女分けをなくし、男女共用の個室がずらっと並んでいて誰でもどのトイレにも入れるという考え方”を冷静に考えると、個室から女性が出たときに、次に入る方が男性の可能性もある、またその逆もあるということです。また、トイレが混んでいて並ぶときに、男性と女性が混ざった状態になるということです。これを快適と思う方は少ないように感じます。ジェンダー問題に配慮しすぎると、マジョリティである男性・女性が不快になる可能性もあるのです。そして、個室が完全個室でない場合、以下のような犯罪にも繋がる可能性もあります。

女子トイレで背後に気配…見上げた個室の仕切りの上からスマホ 盗撮容疑で男逮捕 船橋署
https://www.chiba-tv.com/plus/detail/20201041720

トランスジェンダーの方のことを考えるあまりに、女性と男性の性差についての考えを外れてしまうことがあることも現実に起こりうることを感じました。


実際、2015年にサンフランシスコで、性的マイノリティの方への配慮として、男女別トイレ廃止が始まり、問題になりました。なぜ始まる前に気づかなかったのか? という疑問ですが、最近、トランスジェンダーの方の配慮のために更衣室を男性女性で分けないというニュースを見て、それはまさに本末転倒だと感じたことです。

男女別トイレ廃止は行き過ぎか? LGBT配慮の米小学校に反発の声

配慮するあまりに、男女でトイレを分けずすべてを共用にする、ということです。

企業でも以下のようなことは、考え続けられています。
性同一性障害の社員によるトイレ・更衣室の利用に関する要望
https://www.businesslawyers.jp/practices/1005

企業には、労働契約法のなかに職場環境配慮義務があります。
労働契約法のあらまし
何をもって正解ということが難しい問題ですが、誰もが快適に過ごせる環境を作っていくことは、ゴールなく考えていくべきことです。

小学生の更衣室やトイレについても

文部科学省の小学校施設整備指針の
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2016/03/25/1368763_04.pdf
49ページに以下の記載があります。
児童更衣室等
(1) 同時に使用する児童数に応じ,男女別に更衣できるよう,ロッカーの必要な
数及び配置に留意した面積,形状等とすることが重要である。
(2) 必要に応じ,シャワー等の設備を設置することも有効である。

しかし、水泳授業の着替え、小学校低学年も男女別室にすべきか…「他人に裸見せない教育の必要性」国が議論
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210119-OYT1T50163/
という記事が出ています。

男女別は語られていますが、今後は男女だけでは語れないことが増えてくると思われます。


伊藤 緑

伊藤 緑SDGsナビ公式ライター

記事一覧

フリーランスライターと並行して、企業や個人の広報コンサルや広報担当者の育成を行う。2012年より女性コミュニティプロデュースも開始。日本一優しいSDGsの情報発信を目指している。趣味は神社巡り。