SDGs コラム

ロケットも再利用の時代へ。身近な再利用できるものを考える。

ロケットの一部を再利用

2020年11月、日本人宇宙飛行士・野口聡一さんが搭乗した米スペースXの新型宇宙船「クルードラゴン」が打ち上げられました。

アポロ11号で人類が初めて月へ行ったのは1969年。約50年の間、人は宇宙への挑戦を続けています。そして、その方法も変わってきています。そのひとつが使い捨てから再利用へです。2015年に初めて1段目ロケットを船上に軟着陸させロケットを再利用する試験を行いました。これは着地に失敗しましたが、ロケットの再利用という新たな挑戦です。ロケットの一部が再利用されるということに、多くの人が驚きました。しかし、いつも資源は無限ではありませんし、予算も無限ではありません。それは、どんな分野でも同じです。

その後もロケットの再利用に向けて開発は進み、2019年7月の民間による宇宙ビジネスカンファレンス『SPACETIDE 2019』では、再使用ロケットを開発し宇宙への輸送コストを10分の1、100分の1にしようという企業SPACE WALKER が登壇しています。そして、2020年5月には、アメリカの企業が打ち上げたロケットの1段目を無事着陸させています。これによりコストの削減が可能になります。モノの再利用は、ロケットレベルまで広がっていることです。

宇宙ごみのリサイクル

宇宙繋がりでは、宇宙ごみのリサイクルを考えているベンチャー企業もあります。宇宙ごみリサイクルを考えているのは、STARS Space Service Inc.(SSS社)。“138億年後、宇宙から見た地球が美しくありますように」をビジョンに、宇宙リサイクルに取り組んでいます。”とオフィシャルサイトには書いてあります。宇宙には1957年に旧ソ連が初めて打ち上げた人工衛星以来、6000以上もの人工衛星が打ち上げられていると言われています。それらの多くは、宇宙を漂うごみとなっており、それらがぶつかる可能性も少ないながらあるようです。SSS社では、それを地球に戻すのではなく、宇宙で回収し宇宙ステーションで修理することや、部品の再利用を研究しています。宇宙で作業を行うことで、コストの削減が期待されているそうです。

宇宙リサイクル構想を実現する​​

近年、科学技術の発展により、宇宙空間も人類の生活圏の一部になりつつあります。

私たちは宇宙空間も地球環境の一部と捉え、宇宙デブリのリサイクルによって、地球上も宇宙もエコにしていきます。

https://www.stars.co.jp/

ロケット・宇宙という話になると、やはりSDGsは遠いことだと考えてしまう方もいるかもしれませんが、ロケット・宇宙で行われていることだからこそ、もっと身近なことで私たちは努力できないか? を考えるきっかけにならないでしょうか? そこで、さまざまな再利用を調べてみました。

身近な再利用を考えてみる

急に、身近な話になりますが、京都外大西高等学校では、折れたバッドでバンドの練習をしています。折れたバッドをすぐに捨てず練習に役立てる。これもSDGsです。先日、書かせていただいた、制服の再利用も同様です。制服は期間限定で使う衣料品です。卒業すれば廃棄することが多いと思いますが、同じ学校に通う学生に譲ることができれば、その制服は十分に活用されます。また、生徒や学生は成長期にあるため、サイズが合わなくなることもあります。その点からも制服の再利用はとても意味のあることだと感じています。今は、制服に特化した全国展開している学生服リユースShopさくらやを始め、多くの制服に特化した店舗があります。

ファストファッションだからこそ。

アパレル業界では、ファストファッションの企業の多くが服の回収を行っています。ユニクロでは、“あなたのクローゼットに眠るユニクロのダウン商品を、お店にお持ちください。そのダウンとフェザーを100%リサイクル。次の活躍をします。”というRE.UNIQLOという活動をしています。また、いつの時代も、古着好きな若者が多くいます。デザインは繰り返すとも言います。衣料品を簡単に廃棄せず、再利用を考えることはこれから当たり前のことになるかもしれません。衣料品に限らず、廃棄する際に燃やすことはCO2(二酸化炭素)排出にも繋がります。また、アパレル業界では、これまでの大量生産を見直す流れができているようです。服は受注で購入という時代も来るようです。これは、消費者にとっても無駄な買い物を減らすことができ、モノを増やさずにすみます。もちろん、ウィンドーショッピングは楽しいものですが、新しい常識がやってきていることを感じます。

別の形にして

日本リユースシステム株式会社では、古着deワクチンという活動をしています。古着を送ることで、開発途上国での雇用創出や、ワクチンは必要とする世界中の子どもたちのもとに、医療従事者でなくても簡単に飲ませることができる経口(口から飲む)の生ワクチンを届けています。建築業界でも、資材の再利用が行われています。詳しくは、また改めて調べたいと思いますが、古くなった家を個人の方がリノベーションして暮らしたり、カフェなどにすることが増えていることからも感じられるでしょう。

これから考えていくこと。

私たちは便利な生活を当たり前だと思って暮らしていました。しかし、2020年、コロナ禍は当たり前の多くを一瞬にして消していきました。いろんな当たり前がありますが、例えば、今ではたくさんある100円ショップ。とても便利です。しかし、店内には多プラスチックが溢れています。100円だから、と安易に買ってしまうことはないでしょうか? もちろん必要なものは購入すべきですが、なんとなく買ってしまう、買ったけれど使わなかったからすぐに捨ててしまう、ということを繰り返すことは、本当に避けたいと思います。

ロケットや宇宙の話から始まりましたが、再利用できるものは本当にたくさんあります。今私が思いつかないこともたくさんあるります。これからどんなものが再利用できるのか? 私自身も調べ実践していきたいと考えています。


伊藤 緑

伊藤 緑SDGsナビ公式ライター

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フリーランスライターと並行して、企業や個人の広報コンサルや広報担当者の育成を行う。2012年より女性コミュニティプロデュースも開始。日本一優しいSDGsの情報発信を目指している。趣味は神社巡り。