SDGs コラム

女子高生の制服は、スカートだけじゃない。多様性の時代のための“ジェンダーレス制服”

女子高生の制服は、やはりスカートなのか?

最近、女子高生の制服の選択肢にスラックスが加わるというニュースを目にします。これは、ジェンダー問題。スカートを履くことにどうしても抵抗があるという人のためということがあります。男の子はスラックス、女の子はスカートという時代は、とうの昔に終わっています。

パンツスーツを着て働く女性、パンツスタイルで日常を過ごす女性がとても多いことからも分かります。しかし、制服となると、学生はなかなかスラックスを選べていないようです。それは、男性が育休と取りづらいことと同じように、周りの目を意識してしまうことがあるようです。スラックスを選ぶ理由が、スカートよりパンツが好きだからとか、動きやすいからとか、下半身を冷やしたくないから、という理由であってもそうではない目で見られてしまう可能性があるように感じています。実際、スラックスを選んでいる女子は、10%に満たない数字が出ています。「スラックスを選びたい」と思っても実際には選べずにいる生徒もいるようです。選ばない理由のひとつが、「可愛くないから」ということがあるのも、年ごろの女子の意見としては、最もです。

女子高生時代にしか着られない、と考えたときにスカートを選ぶ女子も多いことでしょう。そう、誰もが着たいものを着れば良いのです。しかし、それが難しい。制服をイメージした衣装を着たアイドルグループが乱立することも無意識に女子高生のイメージを決めつけているように感じています。しかし、選択肢が増えることは、ジェンダー問題の一歩です。自分の気持ちに素直に、スラックスを選ぶ生徒が普通に現れる日を待ちたいと思います。

制服は有難いものでもあるが、イメージを決めてしまうもの。

制服は、高額なブランド制服でない限り、子どもの貧困を考えたときには非常に有難いものです。服による“いじめ”が発生しないからです。また、今は制服再利用の販売店舗もあります。私自身も、最後の学年に着た制服は卒業した先輩のものをいただいた経験があります。そういう有難いものであると同時に、同じものを着て個性を奪ってしまうもの。非常に難しい問題なのかもしれません。

また、女子高生はこういう服というイメージが先行し、スラックスを選べないなら、それも悲しいことです。高校まで制服を着た場合、18歳まで自分で服を選ぶことをしないまま育ってしまいます。自分がどんな服が好きなのか? 自分にはどんな服が似合うのか? を考える時期が18歳過ぎからでは淋しいようにも感じます。制服がない学校では、おそらくパンツ(スラックス)で通学している女子生徒もいると思います。それは、高校を卒業し、大学に進学したり、社会人になったりした後、パンツを選ぶ女性が増えることからも分かります。スカート派か?パンツ派か?というデータでは、パンツ派はスカート派よりやや少ない程度です。自分で服を選べるようになるとパンツを選ぶ女性は増えるということです。

これから制服はどう変わっていくのか?

株式会社トンボでは、2020年5月に「ジェンダーレス制服」を発表しています。LGBTを考えての制服ですが、プレスリリースには“「どれを選んでも大丈夫」という環境作り”と書かれています。まさに、その環境作りこそが、本当はスラックスを選びたいのに、選べない生徒を減らすことになると思います。また、女子高生のイメージを作りすぎないこと。多様性と言いながら、JC、JKなどとイメージ付けしてしまっているのは、大人たちなのではないでしょうか? マーケティング的には必要なことかもしれませんが、それが、言葉にできない生きづらさを助長してしまうことがあってはならないと感じています。私がSDGsの記事を書くにあたって意識していることのひとつに、大人たちがこれから生きていく10代やもっと若い子どもたちに対してできることは何だろう、ということです。ジェンダーレスである制服が広まり、本当に自由に選べるときが来ることもきっと遠くないと思います。ただ、子どもは大人の真似をします。ですから子どもの見本になる大人が増えていくことを願います。

●ジェンダーレス制服の認知は、母親世代で7割を超えるが、子供世代では6割未満。

Q. LGBTの生徒にも対応した、制服を自由に選択(スカートやスラックスを自由に選べるなど)できる学校があることを知ってますか?

ジェンダーレス制服を採用している学校があることを母親世代の7割以上(71.3%)が 「知っている」と回答。子供(中高校生)世代では、母親世代に比べて低く、57.9%が「知っている」と回答。



●ジェンダーレス制服について、母親世代・子世代ともに8割以上が好意的。

Q:LGBTの生徒へ配慮として、制服を自由に選択できること(スカートやスラックスを自由に選べるなど)について、どのように思いますか。

LGBTの生徒にも対応した「ジェンダーレス制服」について、親世代では「良いと思う(56.0%)」「どちらかといえば良いと思う(25.5%)」、子世代(中高生)では、「良いと思う(50.8%)」「どちらかといえば良いと思う(32.3%)」と、親世代・子世代ともに、8割以上の方が好意的であることがわかりました。 https://prtimes.jp/

ランドセルは、カラフルになった。

制服とは違いますが、小学生のシンボルであるランドセルは気づけばカラフルになりました。女の子が赤を選ぶ必要はありません。また男の子が黒を選ぶ必要もありません。本当に多様化されています。今では好きな色を選ぶ時代です。

女の子の選ぶ色は、以下のようなデータが出ています。

1.ピンク・赤系・・・40%
2.キャメル・茶系・・・25%
3.ラベンダー・紫系・・・20%
4.みずいろ・青系・・・10%
5.その他・・・5%

ランドセルの選び方

ピンク・赤系が強いのは昔と変わりませんが、キャメル、ラベンダー、みずいろと続くのが驚きです。キャメルと選ぶとはなんと渋い! と考えてしまいます。もちろん、年齢から考えて子どもの意見だけで決めているのではないとは思いますが。このようにランドセルがカラフルになったのは、イオンが2001年に24色のランドセルを販売したことがきっかけと言われています。約20年経った今、子どもたちのランドセルが黒と赤でないことにも慣れてきました。そんな風に、女子高生がスラックスを履いていることに違和感のない時代。好きなスタイルを他人の目を気にせず選べる時代が来ることを願います。毎日着るものだからこそ、違和感のあるもの・着たくないものを着ることは、精神衛生上もよくないことです。人の数だけ生き方があり、考え方があるという多様性の良い面は積極的に広げていければ、と考えています。そして、誰もがどの面で多くの人と違うものを選びたいと思うマイノリティになるかは分かりません。そんな状況を互いに受け入れられる時代になることを願います。


伊藤 緑

伊藤 緑SDGsナビ公式ライター

記事一覧

フリーランスライターと並行して、企業や個人の広報コンサルや広報担当者の育成を行う。2012年より女性コミュニティプロデュースも開始。日本一優しいSDGsの情報発信を目指している。趣味は神社巡り。

新着TOPIC

  1. ユネスコ「国際数学の日」制定記念「私の数学のイメージ」表現コンクール

  2. SDGsネイティブ世代。格好いいから買っただけ。そんな商品を作るのが、大人の仕事なんだ。

  3. Z世代にとってSDGsは自分ごと!? 2050年の主役は君達だぁ!!

  4. ごみは「ごみなのか?」「資源なのか?」「再利用するのか?」「増やしてはいけないのか?」

  5. 「LGBTQIA」:他者に対して性的欲求や恋愛感情を抱かないアセクシュアルという存在。ドラマ『17.3 about a sex』