今は多様性の時代を作っていく過程か。
「多様性」「ダイバーシティ」という言葉が、まるで流行語のように使われています。企業にも多様性を、と言っていますが、多様性ウォッシュ(SDGsウォッシュ=国連が定める17の持続可能な開発目標(SDGs)に取り組んでいるように見えて、実態が伴っていないビジネスのことを揶揄する言葉)のようになっている企業もあるように感じています。
そして、社会や人もまだまだ「多様性」を正しく理解できずにいます。「多様性」という言葉がいつから今のような使い方をされ始めたかを調べてみましたが正確な時期が分からず、ダイバーシティで調べてみました。SDGsではなく、CSRレビューフォーマルというサイトで以下の記述がありました。
ダイバーシティという言葉が日本社会に登場してきたのは2003年の日経連(当時)のレポートからで、アメリカと同じく将来の人口構成、労働力人口の変化が引き金となったが、その動きはあまり迅速ではなかった。人口減少が具体化し、ベビーブーマーの定年退職が現実的なものになってきて、初めて日本企業は女性や高齢者の雇用継続に真剣に取り組むようになり、いわゆる従来の企業社会の唯一の担い手であった壮年男性とは異なる価値観を持つ人々を抱える職場の課題に遭遇したのである。
CSRレビューフォーマル
これを読むと労働力人口減少で女性への支援が始まったということで、女性としては残念な気持ちになります。
それとは別に、障害者雇用については、実はずっと気になっていたことがあります。障害者を積極的に雇用している企業もありますしから一概には言えないのですが、私自身が子供のころから障害を持つ人と暮らしていたことから感じていることです。当時、障害者が仕事を持つことができたのは、厚生労働省の以下の制度があったからだと思っています。
1.障害者雇用率制度
厚生労働省
従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)民間企業の法定雇用率は2.2%です。従業員を45.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。
※令和3年3月1日から法定雇用率が2.3%に引き上がるため、対象となる事業主の範囲は43.5人以上に広がります。従業員43.5人以上45.5人未満の事業主の皆さまは特にご注意ください。
社会的存在である企業の義務としての制度だと考えますが、こういう制度がない限り、企業が積極的に障害者を雇用しない時代があったのです。障害を持つ人たちが、多くのことを諦めなければならなかった時代から、「障害は個性」といわれる時代へ変わりました。しかし、「障害が個性」という言葉は、自分に障害がないと思っている人の上から目線な言葉のように感じています。今は、身体の障害だけでなく、心に問題を抱える人も増えています。人は皆違います。であれば、障害が個性なのではなく、生きるすべての人が個性を持っているのです。一瞬先は誰にも分かりません。事故や事件に巻き込まれ、自分自身が「障害は個性」と言われる立場になることもあるのです。その時どう感じるか? は当事者にならないと分かりません。
「障害は個性」、それ本当? 当事者が感じる違和感とは
この記事は、“「普通って何ですか。僕たちは障がい者だから普通じゃないってことですか」”という言葉から始まります。
先日の記事でも、普通の定義はないのではないか? と書きましたが、別の意味で、普通の定期はないと考えています。
障害者向けの更衣室は、気づいていない人への啓蒙になるか。
丸井グループが、有楽町マルイに通常の試着室の3倍の空間があり車椅子で入ることができ、手すりが付き、付き添いの人が入れる「みんなのフィッティングルーム」を作りました。これを美談ととるか? 通常の試着室の利用が難しい人がいることに気づいていない人への啓蒙ととるか? 別の視点で見るか? 考え方はそれぞれです。しかし、環境においては、誰もが使いやすい、生きやすい、諦めなくても良い場を作ることが必要だと思っています。しかし、この動きもきっかけは当事者の言葉です。
障害がある人にも使いやすい試着室 きっかけは…車いすの高校生の言葉「僕らはどうせ対象に入っていない」
「僕らはどうせ対象に入っていない」という言葉は、本当に悲しい言葉。人は生まれながらに誰もが個性を持っています。それが他人にどう見えるのか、どう受け取られるのかは、それぞれ違います。それがお互い様です。身体的なことだけでなく、心の問題も含めて、理解することは難しいですが、互いに歩み寄る努力が永遠に必要だと考えます。