SDGsの原稿を書いていると、プラスチックごみの話題が多く出てきます。そして、リサイクルを謳う企業も増えています。リサイクルは、2000年から日本でも推進されている3R(Reduce・Reuse・Recycle)のひとつです。最近では、2020年10月22日に、ユニチャームの活動「使用済み紙おむつ リサイクルで紙おむつ量産へ」がニュースになりました。
記事を書くたびに考えているのが、私たちが捨てているものは、ごみなのか? 資源なのか? ということです。これを考えるきっかけになったのは、徳島県上勝町のごみの分別の方法を知ったときからです。
上勝町は、“2003年に「2020年までに焼却や埋め立てをせずにごみをゼロにする」ことを目標に掲げ、日本で初めて「ゼロ・ウェイスト」宣言を行った町”で、2018年には、13品目45分別で、リサイクル率81%を達成しています。そして、2020年5月30日に「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」を開業しました。その施設リーダーをしているのが、1997年生まれの大学を卒業したばかりの大塚桃奈さんです。これを知ったときに、ごみ問題は今の問題であり、同時にこれから地球で生きていく子供たちの問題であることを感じました。
そして、リサイクル率81%を達成している町があるなか、ごみが減らない現実。コロナ禍で増えた家庭ごみで、ごみ収集の作業員の方がご苦労をされていることを聞くと、私たちは安易にものを捨てすぎなのではないか、と感じます。そして、それ以前に安易にものを買いすぎなのでは? もっと言えば、安易にものを作りすぎなのでは? というところに到達します。
SDGsというと、日本とか世界とか、大きなことを考えてしまう方が多いようですが、自分の周りで考えられることがたくさんあると思います。プラスチックごみ問題は、「14海の豊かさを守ろう」に繋がりますが、海が身近にない方や、実際に海洋ごみを見たことがない方にとっては、とても遠い話です。しかし、海はみなさんが住んでいる川の水が流れた先にあり、川にごみを捨てれば、それは海に流れていきます。排水溝に油を流せば、川へ、そして海へ流れていきます。昨年は、タピオカブームで“映える” 写真を撮り、多くのプラスチックカップが飲みかけで放置されていました。そんな場面を目にした人も多いと思います。それらのプラスチックカップも処理方法を間違えれば海に流れつく可能性があります。一度海に流れついてしまったプラスチックは自然に帰ることはありません。ずっと形として残り回遊するのです。それを魚が食べてしまう。それが問題になっています。
ごみ問題を考えるときに、ごみになる前に、できることはないか? を考える習慣をつけることが必要な気がします。断捨離ブームですが、正しく誰かに譲る、再利用する。ごみにしない方法考えることこそ、人間ができることではないでしょうか? 捨てて自分の目の前から消えればOKではなく、資源にできないか? ということを。もちろん、最初は資源ごみとしてきちんと出すことから始め、そこからごみを増やさない方法を考える。リサイクルとして商品を集めている店舗に持っていくことも難しくなくできる一歩です。ユニクロ・GU・無印良品・H&M・ZARAなどでは、リサイクル商品の回収を行っています。
上勝町のようにリサイクル率8割超えをすることは難しいです(人口の多い都心では不可能に思えますし、都心以外でも真似できるところは少ないでしょう)が、できることから行う意識を持つことが、これからを生きる子供たちのためになるのではないでしょうか?
上勝町の子供たちは、45品目分別ネイティブです。彼らが大人になれば、当たり前に分別をします。ごみの分別がない時代に子供時代を過ごした私は、ごみの分別が始まった頃、正直、分別方法に戸惑いました。しかし、子供のころから分別をしていれば習慣になります。「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」の施設リーダーが、1997年生まれであることは、2003年に始まった「ゼロ・ウェイスト」宣言のときに6歳。その頃から、ごみ分別していたことです。まさに45品目分別ネイティブ。
企業の担当者が、SDGsを考えるとき、どうしても日本や世界など大きなことを考えてしまいます。そして「何から手を付けていいか分からない」という言葉が出てきます。しかし、企業内にもたくさんのSDGsの入口があります。それを探して実践していくことが、企業がすべきことであり、それにより企業イメージが高まっていきます。日本や世界という言葉を使わなくても、SDGsは語れます。そして、宣言ができます。それを探し、仕組みを作ることこそ、大人がこれから生きている子供たちのためにすべきことではないでしょうか?