琉球大学、東京大学、東北大学、東海大学などの研究グループは、2024年の記録的な海洋熱波が、沖縄のサンゴ礁だけでなく本州沿岸のサンゴ群集にも深刻な白化を引き起こしたことを明らかにしました。海水温の上昇ペースが、サンゴの北上や適応を上回る可能性が示されています。
今回のポイント
- 日本の黒潮流域沿岸8地点で海水温の熱ストレスと白化を解析
- 夏の平均海水温が従来より1〜3℃高く、複数地点で過去約40年最大の熱ストレス
- 沖縄だけでなく本州沿岸や、北上中のミドリイシ属にも白化と死滅を確認
SDGsの視点
サンゴの白化は、高水温などのストレスによって、サンゴが体内の共生藻を失う現象です。白くなった時点で必ず死ぬわけではありませんが、高温が長引けばエネルギーを得にくくなり、回復できずに死滅するリスクが高まります。
温暖化に伴って一部のサンゴが北へ分布を広げているため、温帯の海が避難先になる可能性も考えられてきました。しかし今回、対馬、田子島、沼津など高緯度の地点でも極めて強い熱ストレスが確認されました。生息域を移すだけでは追いつけない速さで海が変わっている可能性があります。
暮らし・社会との接点
サンゴ群集は、多くの生きもののすみかとなり、漁業、観光、海岸の保全にも関わります。沿岸での開発や土砂流出、汚染を減らして地域のストレスを小さくすることは、海洋熱波そのものを止められなくても、回復する力を支える対策になります。
私たちには、温室効果ガスを減らす行動と、長期モニタリングや保全活動を支える行動の両方が必要です。海の変化を一度のニュースで終わらせず、同じ地点を継続して見ることが重要です。
これから注目したいこと
研究成果は国際学術誌Scientific Reportsに掲載されました。今後は、白化した群体の回復率と死亡率、種ごとの違い、次の海洋熱波までの間隔を追う必要があります。温帯域を含む全国的な観測網と、排出削減・地域保全を結び付けた対策がどこまで進むかが焦点です。
